こんにちは。ようこそ健康よろず帖へ。
花粉症。日本では国民の約4割が花粉症と言われています。
鼻水、鼻づまり、くしゃみ。人はどれだけこれらに足を引っ張られてきたのでしょう。
どうやらそんな悩みを抱えた人がいるようです。
じんべと一緒に確認していきましょう。
はじまり
カタカタカタカタズビッカタカタカタカタ…ッターン!!!

……昨日比でタイピング速度が約20%低下している。
ズビッ思考速度、集中力の低下もある。そしてこの疲労感……。
くッ、この私が”遅れ”を取っている……。

”スギ花粉”に――。

はじめまして。深海から来たじんべだよ。
どうやら花粉症のようだね。

くッ……!
”魅”せられている――!”幻影”――!スギ花粉に……ッズビビ
私はひとし!! お前なんかにだまされっくっしょい!!!!!

花粉症で脳が酸欠になってるみたいだね。

花粉症は一般に幻覚症状はないし、
僕はちゃんと存在しているよ!
君の悩みを解決しに来たんだ。

花粉のサメの白衣の二頭身の悪魔め……。
このひとしの脳に酸素が不足しているわけがないだろう!!!

ごめんごめん。言い過ぎたね。
鼻がつまって呼吸が少なくなることで睡眠の質が下がって、脳が疲労状態になったりするんだ。

もっともらしいことを言って惑わそうとしても無駄だ。
私は花粉と抜きつ抜かれつの敵同士だが、持ちつ持たれつの敵対を超越した関係でもあるのだ。

?

?

いや僕に首を傾げられてもわかんないけど、
なんかお薬とか使ってないの?

ふん、素人はこれだから困る。抗ヒスタミン薬を飲めば、たしかに鼻水は止まるだろう。だが!
脳内のヒスタミン(覚醒物質)までブロックされてしまい、眠気や集中力低下を引き起こす! いわゆる『インペアード・パフォーマンス』だ。
私はもう二度と! 己のパフォーマンスを下げるような薬は飲まない!
だから私は花粉と”共存”する未来を選んだのだ!!!

わぁ、いっぱい勉強したんだね。
でもひとしくん、花粉の幻影である僕と敵対してたし、花粉の炎症のせいで結局パフォーマンス落ちちゃってるじゃない。
これって共存じゃなくてただやられたいようにやられてるだけなんじゃない?

ぐわぁぁぁあああああああああああああああああ

この健康よろず帖の知識をいっしょに確認して、
正しく”共存”していこうよ。
共存への道(薬の種類)

いいだろう……。話は聞いてやろう。
だが、少しでも怪しい箇所があれば、お前を保健所に通報する!!!!!

まず抗ヒスタミン薬。メジャーな成分名でいうとフェキソフェナジンやエピナスチンとかだね。
今挙げた2つは、脳に作用しづらい「第2世代」で、君が言うインペアード・パフォーマンスが起きづらいんだ。
君が服用したのは「第1世代」っていうことはない?

ッッッハ!!!!
この私がそんな初歩的な間違いを起こすわけがなかろう!!!
一通り試したが、眠気や倦怠感、あるいはあまり効果が感じられない。
もうたくさんだ!!!!!

そっかぁ。たくさん努力してきたんだね。
人によって薬が合わないこともあるから、こればっかりはね。

なら、点鼻はどう?

バカめ!!
点鼻は確かに鼻づまりには即効性がある。
しかしそれだけ! 鼻水やくしゃみには効果が期待できず、
挙句の果てには頻用すると逆に症状が悪化する。
悪魔め!!!! 正体を表したな!!!!!

それは市販でよくある『血管収縮剤』が入った点鼻薬だね!
確かに使いすぎるとリバウンド(薬剤性鼻炎)で余計につまるから要注意だよ。

僕が提案したいのは、
それが入っていない『ステロイドだけ』の点鼻薬なんだ。

…………。
……ック。

?

あーっはっはっっはっっはははーっくっしょい!!!!!!!!!
ズビビーグシュン

ステロイドだと……?
何を言い出すのかと思えば、”愚の骨頂”――。ククッ
そんな強い薬を使えば、治療のメリットより副作用のリスクが上回り、結果的に生活の質が下がる。
やはりお前は野放しにしてはいけない。この私がお前の罪を止めてみせる。保健所で懺悔するんだな。

のみ薬とか点滴だと、お医者さんや薬剤師さんに見てもらいながら使っていく必要はあるけど、
点鼻は鼻の中だけで作用するから、血の中にはほとんど入らない。つまり、ステロイドの副作用は起こりづらい。
それに抗ヒスタミンではないからインペアード・パフォーマンスなどの眠気や集中力低下も起こりづらいし、
鼻づまりだけでなく、鼻水やくしゃみもしっかり抑えてくれるんだよ。
実際、ステロイドの点鼻は市販でも売られてるからお医者さんの監督なくとも買っていいよって判断されてるんだよね。

ちなみにすぐには効かないから、
1週間前後くらい効果出るまで使ってみてね。

……。
そうか、”点鼻”――!
局所作用に特化することで、鼻だけに効果を出せる。
裏返せば全身的な影響が抑えられ、ステロイドでも安全性を高くすることができる――ッ!
くッ――! なぜそんな単純なことに気づかなかったんだ!!!
私の脳が劣化しつつあるというのか……? なぁ!!! そう言いたいんだろう!!?

花粉症のせいじゃない?
余談

お薬はステロイドの点鼻を使ってみるとして、
お薬以外に花粉対策してるの?

していない。タイパが悪いからな。
ちまちま細々としたことのために普段のルーティンを崩されたくない。
小さい粒を1つ2つ飲むだけで症状を抑えられる、そんな素晴らしい手段があるならそっちを選ぶのは自然なことだろう?

しかし、そんなうまい話があるわけはなかった。私は錠剤が合わなかったのだ。
もう何年前かの話になるな。私はもう一つの未来を選んだ。

私は全身にスギ花粉を浴びることにした。
植林された杉の森で生活することにしたのだ。
敵を倒すにはまず”知る”必要がある。そこで彼らと人生の歩みをともにした。

あぁ、もちろん症状は悪化したよ。わかっている、馬鹿だって言いたいんだろう?
だがある日、少しだけ症状が引いたときがあった。
「そうか、ついに私は”追いついた”のだ――」
そこからというもの、スギ花粉とは抜きつ抜かれつ、”好敵手”となった。

手持ちのティッシュ箱が残り3ダースとなったときだった。
突然鼻水が出なくなった。
ふと視線を上げると、あれだけ視界を覆っていた黄色い膜が晴れ、明瞭な世界が広がっていた。
小鳥のさえずり、川のせせらぎ、暖かな太陽――。
完璧な世界に、たった一つだけ”足りない”もの。
鼻水は止まった、だがその世界での私は目から出る水が止まらなかった。
「あぁ、私は”勝った”のではない、”赦されていた”のだ――」
そして初めて気づいた。すでに芽生えていた感情に。
”愛”だよ。

憎しみを抱いていた相手に、こんな感情を抱くようになるなんて思いもしなかったよ。
それからかな? 少しだけ和らいだ気がしたんだ。

心の花粉症がぁあっくっしょい!!!!!!!!

そっかぁ。
共存への道(花粉対策)

ぜんぶを受け入れるのはスバらしいことだけど、
それで困っていることがあるなら、あんまり”いい関係”じゃないよね?
点鼻をしていても無限に浴びてたら限界が来るし、
いっしょに”いい距離感”、探してみない?

いいだろう。述べよ。

基本的には花粉の暴露を防ぐのが大事だよ。
まずは家に花粉を入れないこと!
☑「水際対策」
・玄関前で服をはたく(ウールやフリースなど、花粉がつきやすい素材は避けるツルツル素材の推奨)。
・帰宅後すぐに手洗い、うがい、そして洗顔(目と鼻の周りの花粉を落とすのが超重要!)。できればすぐにお風呂に入るのがベスト。

ふむ、物理的遮断(バリア)だな。
屋内にいる時間は長い。暴露を防ぐには屋内への花粉の流量を減らすことは効果的であろう。

家の中に入っちゃった花粉は、空気中と床にいるよ!
☑部屋の中の「空中戦」と「地上戦」
・空中戦: 空気清浄機は「玄関」や「部屋の出入り口」など、風の通り道に置くのが効果的。
・地上戦: 落ちた花粉を舞い上げないように、掃除機をかける前に水拭き(ウェットシートなど)をするのが鉄則。

なるほど、微小粒子状物質の動態を考慮した清掃手順というわけか。
掃除ロボに水拭きを最初に行うよう設定を変更する。

あとはね、部屋の『湿度』を保つことも大事なんだよ!
・湿度が上がると、空気中の花粉が水分を吸って重くなり床に落ちる(舞い上がりにくくなる)。鼻の粘膜保護にもなる。
・(おまけ)長期的には腸内環境を整える(ヨーグルトや食物繊維)ことで、免疫の暴走を抑えるベース作りも大事。

ふむ、湿度コントロールも設定しよう。
近年腸内フローラとアレルギーの関係についての研究が盛んだな。取り入れてみることとしよう。

これできっとお互い”共存”ができるよ。
暴露しにいく薬?

あと、特殊な経験を持つ君に言うべきか言わざるべきかちょっと悩んだんだけど、
お医者さんが出せるお薬でね、スギ花粉を取り入れて体を慣れさせるものがあるんだ。

ガタッ

スギ花粉をこよなく愛すけど、お互いに近づけない君にとって、
もしかしたら酷かもしれない、でも伝えとかなきゃって……。
どうかな?

……ありがとう。
だがやめておくよ。

え?

私とスギ花粉の関係はあのとき”終わった”――いや、”完成”したんだ。
お互いに”いい距離”で人生を生きていくことにするよ。

そっか……わかった。

効果が出るまで数年単位でかかるからなるべく早く始めたほうがいいと思って、提案してみたんだ。
根本的な体質改善が期待できる治療法
なんだけど、使い方が特殊で舌の下に1分間置いて飲み込むんだ。

やる。

え?

やる。
人生は何事も”挑戦”。――だろ?

えぇ?
じゃあ、お医者さんとよく相談してお薬出してもらってね。
まとめ

話はまとまったようですね兄貴!

なんだこの化け物は。

彼はコバンザメのこぶんザメくん。
今までのことをまとめてくれるよ。

なに!? 私とスギ花粉の馴れ初めもまとめられてしまうというのか!??

しないよ。

おまたせしやした! こぶんザメのまとめ、とくと見やがれ!


じゃあ僕たちは帰るね。
スギ花粉とお幸せにね。

意味がわからねぇけど達者でな!
スーッ

消えた……。なんだったのだ。

まぁよい。さっそく明日、アレルゲン免疫療法を行えるクリニックを予約し向かうこととしよう。
また会えるな、”相棒”――。

ちょっと待って!
スギ花粉が飛んでる今の時期(1月〜5月頃)は、アレルギー反応が強く出ちゃうからスタートできないんだ。
始めるなら花粉が落ち着いた『6月以降』に耳鼻科に行ってね!

フッ――。
“スギ花粉”、やはり一筋縄ではいかないやつだ。
こうしてじんべと健康よろず帖は、また一つ悩みを解決したのでした。
今度はどんな悩みにたどり着くのでしょうか。
それでは今はこれにて。
じんべの参考資料室

詳しく知りたい人はこれを見てねって
よろず帖に書いてあったよ。
鼻アレルギー診療ガイドライン 2020(日本アレルギー学会)
(抗ヒスタミン薬のインペアード・パフォーマンス、ステロイド点鼻薬の第一選択推奨、舌下免疫療法の有効性について)
アレルギー性鼻炎と睡眠の質に関するメタアナリシス
Liu J, et al. “The association between allergic rhinitis and sleep: A systematic review and meta-analysis of observational studies” (PLOS One, 2020)
アレルギー性鼻炎患者の脳のネットワーク異常に関する研究
Gao, et al. “Changes in Resting-State Spontaneous Brain Activity in Patients With Allergic Rhinitis” (Frontiers in Neuroscience, 2021)
腸内細菌(プロバイオティクス)とアレルギー性鼻炎の関係
Zajac AE, et al. “Probiotics in the treatment of allergic rhinitis: A systematic review and meta-analysis” (American Journal of Rhinology & Allergy, 2015)



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